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お盆の直前、私達は北海道でゴルフをするチャンスに恵まれた。
翌日からは、お盆料金(グリーンフィが休日と同じ25,000円に跳ね上がってしまう)になるという日だった。
私の上司 YO氏、通訳のMY嬢、そして私の三人は、羽田空港のチェックイン・カウンター前で待ち合わせをした。
ロビーは、帰省や行楽の人々でごった返していた。
それだけでも鬱陶しいのに、追い討ちをかけるように、籠に入れられて今まさに預けられようとしているお犬様がわめく「キャンキャン」という泣き声がロビーにコダマして、人々のイライラを更に煽っていた。
1週間前に今日のフライトを予約した時には、「満席です。キャンセル待ちをされても、あまり望みがございません。」と言われ、直前にやっとのことで予約が取れたにも拘らず、今朝来てみると、「お席がまだ少々ございます。」と言う、ふざけたアナウンスが繰り返されていた。
私達は、朝9時の飛行機で千歳へと向かった。
千歳空港到着後、某ゼネコンの現場所長 MO氏と合流し、彼の車でゴルフ場に行くことになった。

我々が目指す北海道クラシックゴルフクラブは、空港から車で約20分の場所に有る。
昨年、ジャック・ニクラウスの設計によりオープンしたコースである。
北海道クラシックゴルフクラブ
総檜造りというログハウス風のクラブハウスは、高さを抑え周囲の植栽と調和していた。
12:40のスタートだったので、着替えをした後、レストランで昼食をとった。
今朝2時まで飲んでいて二日酔い気味だった私は、MO氏の勧めも有り、果敢にもビールで迎え酒を敢行した。
レストランからコースを眺めていると、オジサマと年齢の釣り合わないギャル(死語?)という組み合わせが目に付く。
『俺も、いつかは!』と決意を固めつつ、蕎麦をすすった。
(4年前〈2004年〉に、やはり北海道クラシックを訪問したが、野郎ばかり四人だった。情けない。)
食後、スタートまで時間が有ったので、練習場で軽くウォーミング・アップをした。
ちょっと気を抜くと出てくる私のブーメラン・スライスも、今日は鳴りを潜めていた。
「このコースは難しいから、いつものスコアより10打は叩くぞ!」というMO氏の言葉が頭をよぎったが、気にしないことにした。
いよいよ私達はインコースからスタートした。
ベントのフェアウェイは絨毯のように美しく、フカフカで気持ちが良いが、長い間歩くと疲れそうである。
飛ばし屋のMO氏は噂通りガンガン飛ばし、某大学ゴルフ部主将だったMY嬢はステディなゴルフで、見ていて気持ちがいい。
先週からショート・アイアンのシャンクに悩むYO氏はいつもの精彩がなく苦戦を強いられている。
私はと言うと、予想通り順調にスコアを崩していった。
ドライバーは真っ直ぐ飛ばない、パットの距離は合わないで、最近では最悪のペースだった。
アウトの8番、ショート・ホールで事件は起こった。
8番のティイング・グラウンドに差掛かった時、私とMY嬢はサンドウェッジについて議論をしていた。
上司 YO氏がティに上がったのをぼんやり見ながら、私が彼女に「でもさー、サンドは何度打っても三度!」という軽いジョークを飛ばした瞬間、緑と焦げ茶色のツートーンの"草履"がティの上を5mほど飛んだ。
私はそれがターフだと分かるのに 0.5秒かかった。
反射的に私はキャディさんの顔を見た。
彼女は口をだらしなく半開きにしたまま、声も出せずに凍っていた。
その空白の時間を破ったのは、ご本人YO氏の「おまえーっ、笑わすなよなーっ!」という言葉だった。
彼は私の他愛もないギャグに心を奪われ、素振りにもかかわらず、ティのターフを約30センチも削ってしまったのであった。
私は『俺が悪いのかなー?』と思いつつも、代わりに「スミマセーン」と謝った。
キャディさんは、引きつった笑いを無理に作りながらも、「だいじょーぶですよー」と言ってくれた。
『売店でジュースとビールを渡しておいて良かった』と私は思った。
でも、お金を払ったのは、飛ばし屋のMO氏である。

【オマケ】
4年前(2004年)に野郎ばかりで北海道クラシックゴルフクラブでプレイした際には、次の9番ホールで面白いものを見た。
9番ホール(パー4)の右サイドは、一般道からクラブハウスに続く進入路に面している。
私はセカンド・ショット地点で、周囲のスプリンクラー・ヘッドの距離表示を参考にして残り距離を考えていた。
ふと、目をホール右サイドの進入路に移すと、一台の車が停まっていた。
車内で動くものが有る。
目を凝らして良く見ると、男が腹筋運動をしていた!
『ここで、何の為に?』
『北海道クラシックのアウト上がり2ホールには魔物が棲む』と思っているのは、私だけだろうか?

そしてもっと凄いことに、この前日、私は元某ゼネコンの現場所長であった飛ばし屋MO氏とマオイゴルフリゾートで12年ぶりに偶然再会したのであった。
マオイゴルフリゾート
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