今日この頃 番外編

【今日この頃】の番外編。 『日常』とチョット離れた体験を綴ります。

026 【ポジティブ・シンキング】

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026【ポジティブ・シンキング】

高校1年からドラムを叩き始めた私は、大学で音楽のクラブに入った。

クラブの名は“Luna Hawaiians”と言い、その昔は真剣にハワイアンをやっていたという。
噂によると、あの“高木ブー”は、私達のクラブの大先輩らしい。

私達の時代は、思い思いの音楽をやるバンドが幾つも混在するというクラブになっていた。
それでも、“文化連盟音楽研究会”という団体に所属する大学公認のクラブであった為、学校内にスタジオもあり、環境的には恵まれていた。

当時私は、ブラコン(死語?)とロックのバンドを掛け持ちしていた。
特にドラムとベースは人材不足であり、複数のバンドを掛け持ちしている人間が多かった。

その頃、クラブの夏休みの合宿というと北志賀の竜王スキー場のペンション、そして冬の合宿は河口湖周辺のホテルで行っていた。

大学2年か3年の夏のことだったと思う。
その年も、北志賀のペンションに合宿に来ていた。

ある晩、外でバーベキューをした流れで、花火大会になったと記憶している。
花火が終わっても満足しない私達は、有志で肝試しをすることにした。

メンツは確か、同じ学年のM田、S藤、B場、そして一つ下のF田とH間と私の6人だったと思う。

私達の合宿していたペンションはゲレンデの最下部にあった。
そのゲレンデの右端を通っている道を私達は登っていった。
500mも登っただろうか?

照明が無くなり、道はそこからダートになった。
進むと道は更に狭くなった。
だんだん獣道のようになり、周りの建物も無くなってしまった。
既にロッジから1キロは登っていたと思う。

そこで私達は立ち止まり、どの様に肝試しを実行するか話し合った。
ここで、メンバーの中に異変が起こった。
一つ下のF田が「二人ずつにしましょうよっ!」と、やたら強調する。

まだ、何をするか決める前からこれである。
私はピンと来た。
『こいつ、かなりビビッてんな!』と。

確かに真っ暗な中に、道がボーッと見える程度である。
慣れない人間には恐いかもしれない。
私は東京生まれだが、幸いにも?八王子という田舎に育ち、暗がりは得意としているし、実家の直ぐ裏は大きなお寺という好条件?が揃っていた。

私に弱みを見せたのが運のつき。
彼の主張は聞き入れられる筈も無く、心優しい私は「F田の言うように、一分置きに一人ずつ歩いて下りよう。」という割合初歩的なレベルに譲歩してあげた。
後輩思いの先輩である。

下りていく順番は公平にジャンケンで決めることにした。
見事に私は1番手を獲得した。

しかし、この期に及んで、F田はまだ「二人ずつにしようよーっ。ねーっ。」と哀願している。
私は、まるでそれが耳に入らなかったかのようにスタートを切った。

その頃には、目が暗闇に大分慣れていたので、足元も十分見えた。
私は、獣道が砂利道に変わる手前で道を外れ、薮に身を潜めた。

ジッと待っていると、私の後から来る連中も同じ事を考えていたらしく、皆が示し合わせたように、私より上の方でガサガサ隠れている。
素晴らしいチームワークである!

5分程度経っただろうか。
上の方から甲高い叫び声のような音が聞こえ、だんだん近付いてくる。
凄いスピードだ。
やっと声が聞き取れる距離に近付いてきた。

「恐くない、恐くない。俺は強いんだーっ!」と叫び声を挙げながら、凄いスピードで走ってくる奴がいる。
F田だっ!

次の瞬間、誰かが、薮から飛び出して、「ウワーッ」と脅かした。
F田は「ギャーッ」と悲鳴を挙げ、更にスピードを上げ、私の前を疾走していった。

あまりの可笑しさに、私は飛び出すタイミングを失ってしまった。
だって、「恐くない、恐くない。俺は強いんだーっ!」である。

F田に続いて皆が飛び出し、後を追ってドタドタ私の前を走っていった。
私はしゃがんだまま、暫くその場で爆笑した。

笑いが収まったところで、ニヤニヤしながら、ゆっくり後を追った。
照明が点いているゲレンデの最上部まで下りてきて下を見ると、集団は既にペンション近くまで駆け下りていた。

凄いスピードである。
オリンピックでもイイ線まで行けるのではないだろうか?
人間の潜在能力は驚異的である。

ところが、一人だけゲレンデ中間部にしゃがんで下を伺っている人間がいる。
私は、そっと彼の後方10mに近付いた。
“キジ撃ち”をしているわけではないようだ。
良く見ると、一年下のブルース・ギタリスト H間だった。

息を思いっきり吸い込みながら声帯を震わすと、もの凄い恐ろしい声が出るのをご存知だろうか?

私は更にH間の5m後方まで進んだ。
力一杯息を吸い込みながら、怪獣顔負けの声をお見舞いしてやった。

ビクンと飛び跳ねたH間は、瞬間的に私の方を振り向き、目をひんむいた。
数秒して「O野さんか〜っ」と、やっと喋ることが出来た。

そう、彼は腰を抜かしていたのである。


★ 長い間、ご愛読ありがとうございました!
  『今日この頃 番外編』は今回で打ち止めとなります。
  引き続き、姉妹ブログにてお楽しみいただければ幸いです。
  今後とも宜しくお願い申し上げます。


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026【YMとIIが行く002 “似て非なる物”&“遠慮”】

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026【YMとIIが行く002 “似て非なる物”&“遠慮”】1996年7月29日

【似て非なる物】

先週金曜日、会社で仕事をしている時、どの様な経緯か忘れたが、『何処に住んでいるか?』という話題になった。

YM子が私に、「O野さん(私)、何処に住んでるんだっけ?」と尋ねてきた。

 私 :「代々木」
YM子:「駅からどれくらい?」
 私 :「7,8分」
YM子:「へー、いいなー」
 私 :「いいだろー! ベランダから新宿の高層ビルが見えるんだぜっ!」
     (ちょっと得意げに)
YM子:「へえーっ、都会チックー。そういうのって、“アバンギャルド”って言うんでしたっけ?」
 私 :「へっ? それを言うんなら“アーバン”じゃねーか?」(一同爆笑!)

しかし、“都会チック”という言葉が存在するのか?


【遠慮】

その後、何故か免許の話になり、YM子に「日本の平和のためにも、お前は免許取らない方がいいな!」と諭していると、突然II子が会話に入ってきた。

II子:「私、免許持ってるんですけど、友達から『お前、車買う時は教習所の車を払い下げて
    もらった方がいいぞ』って言われたんですっ。
    あの助手席にブレーキの付いてる奴!」
 私 :(ボソッと)「それ以前に、あまり乗りたくないなっ!

いつもII子にやられっぱなしのYM子は、これを耳にして大笑いしていた。


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025【YMとIIが行く001 “業務の遂行”&“挑戦的な御指摘”】

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025【YMとIIが行く001 “業務の遂行”&“挑戦的な御指摘”】1996年7月24日

【業務の遂行】

二日前、親不知を抜いた経理担当女子YM子は、今日も左の頬を腫らしながら出社した。

私は朝一番からトーナメントの打合せのため某テレビ局に出掛けていた。
故に、ここから後のことは、私に協力的な情報提供者の一人であるIO夫人から聞いた内容である。

午前中、YM子は当社がいつも使っている近所の旅行代理店にチケットを取りに行った。

代金を支払い、領収書を貰ってきたところまでは、YM子としては上出来だった。
しかし、会社に戻ってきて、本人は何かが足りないことに気付いたらしい。

虚ろな目で、「あっ、そうだ。チケット忘れてきちゃった。取りに行かなきゃ!」と言い事務所を出ようとした時、旅行代理店のオニイサンが親切にチケットを出前してくれた。

YM子のこれらの行動は、抜歯後の痛み及び腫れと関連が有りそうに思えるが、私達は無関係であることを良く知っている。

午後、帰社してみるとYM子の顔がいつもより可愛くなっているので、その旨を私が正直に伝えると、YM子は「フッフッフッ」と言いながら、ひきつった笑いを浮かべていた。

【挑戦的な御指摘】

会社で仕事をしていると、後ろで「痛いよーっ」とか、うるさいので私は「YMーっ。痛かったら薬屋行って、貼って冷やす奴買ってきたらー?」と勧めてやった。

すると、YM子は素直に「そーするー」と立ち上がった。
私は「YMー。目の周りを冷やすシートみたいのが有るらしいんだけど、それ有ったらついでに買ってきて」とお遣いを頼んだ。

数分後、YM子が戻ってきた。今度は商品もちゃんと持ち帰ったようだ。

早速、私は“なんとか”というその袋を開け、シートを一枚取り出した。
サングラスのようなシルエットをした、ちょっと厚手のウェットティッシュ状のものだった。

かなりウェットで、ビショビショしている。
そのまま両目の周囲を覆うように、顔に乗せてみた。
もっとヒンヤリするものと思っていたせいか、少々期待外れだった。

私が、「あまり気持ち良くねーなー」と感想を述べていると、営業庶務女子II子が突然、「それって、疲れてないんじゃないですかー?」と指摘してくれた。

私はムッとして、瞬間的に「疲れてるよーっ!」と言い返してしまった。
言った後で、『大人げない』などと反省する私ではなかった。


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